|
|
|
|
|
|
|
平成20年9月16日 夜間急病センター説明会 要旨 |
|
広島市医師会は3期目の平松会長のもと広島市の救急医療体制を何とかしようと取り組んでおります。その仕事の1つとして公設民営型の夜間急病センターというものを設立することを計画してまいりました。いよいよ平成21年3月に中区千田町の健康づくりセンターの敷地内に広島市医師会運営の広島市医師会千田町夜間急病センター(内科)が設立されることとなりましたので平成20年9月16日に会員の皆様への説明をさせていただきました。当日午後7時からの説明会には162名の先生のご出席をいただきました。
1) 広島地区救急医療の経緯
昭和52年に舟入病院での内科・小児科の毎日夜間救急診療が始まり、平成9年に病院群輪番制病院の運営事業を開始しました。平成14年舟入病院での24時間365日の小児救急を開始しました。舟入病院の内部事情や広島市行政の考えから平成18年12月25日に舟入病院の内科救急を撤退して基町の市民病院に移管されました。以前は内科医会の先生方に舟入病院へ出務いただいておりましたが、現在は年末・年始を除いて出務はしておりません。昭和63年から昨年までの舟入病院と市民病院での内科救急患者の推移では15,000人から30,000人に増加し19年は舟入病院と市民病院の比率が逆転しております。
ことに時間外 準夜と深夜の内科患者数を調べてみると、平成18年の舟入病院は18,378人でしたが、平成19年には2,252人へ激減しました。1日当たりに直しますと、約6人です。それと反対に市民病院での平成19年の受診は22,708人です。これは1日当たり約62人です。舟入病院への準夜帯の患者の一極集中が基町の市民病院へただ移ったという事態です。市民病院・救急診療部ERでの患者状況では20時 21時をピークに18時から23時に集まっています。現在の基町市民病院のERはフル回転で、そこで働くドクター達も本当に疲労困憊されています。一人でも医師が減ると広島市の救急医療というものは完全に動きが止まってしまうのではないかと危惧しています。
つづいて夜間の救急医療を支えているのが2次輪番制病院群ですが、年間患者総数が55,608人です。病院群輪番制病院は28の病院が参加して毎日、8から9の病院が当番にあたって救急車を収容していますが、その大部分が外来のみの内科患者です。 ここ2,3年、内科系の救急病院というのが、かなり減ってきました。内科救急病院が広島市民病院1件だけという日もあります。救急車が患者を搬送する際も、収容先を探すのに大変困っております。4から5件以上当たって、やっと引き受けてもらえる状態です。しかし、搬送患者の重傷度を調査した結果は、入院を必要として収容された患者はその約5割で、重症患者は約1割です。救急車の搬送件数は年々増加していますが、重症者の絶対数はわずかしか増加していません。軽症患者が大学病院で診察を受けるというケースもあるようです。
2) 広島市での救急医療の課題
こうした時間外に救急病院を受診されている患者さんの声を市民公開講座や県民公開講座で聞いてみました。まず、昼間には病院へ行く時間がない。かかりつけ医をもっていないので相談できない。救急と時間外診療の区別ができないなどの理由で、あいている医療機関を受診されています。もう一度広島地区の救急医療の現状を検討してまとめてみますに、夜間に救急医療機関を受診される患者さんが年々増加しております。市民病院では夜間救急患者の約8割が軽症でその6割が準夜帯に集中しています。これが待ち時間の長時間化や重症患者の円滑な受け入れに支障が生じております。
以上のような状況ですから、これらの課題を解消するためには準夜帯の初期救急医療をになう施設が是非必要と考えました。それでは他の都市ではどう対応しているのか調べてみますにすでに札幌、仙台、川崎などの政令指定都市には大抵2・3カ所の夜間急病センターがありますけれども、残念ながら広島市にはそうしたものがこれまで無かったのです。
3)夜間急病センターの検討経過
広島市医師会は以前から百万人都市広島の救急医療の手薄さを危惧し、平成17年から秋葉市長ならびに市議会議長に定点夜間救急診療所の設置の要望を毎年おこなってまいりました。医師会でも平成18年3月に救急医療検討部会をたちあげ、広島市の救急医療体制、とくに夜間の一次救急医療について検討を重ねてまいりました。平成18年7月連合地区地対協これは広島市医師会・安佐医師会・安芸医師会と広島大学・広島市行政からなる協議会ですがここに救急医療体制検討委員会準備会を設置しました。平成18年11月定点の夜間救急診療所の設置に意見集約され、同診療所の実現に向けて基本問題協議会を設置しました。 平成19年10月9日の広島市連合地区地対協の第3回救急医療体制検討委員会基本問題協議会でこうした事態を打開する方策の1つに定点の夜間救急診療所を設立して、そこで軽症患者の初期診療をおこなうことで、市民病院や2次輪番制病院群にこれまで受診されていた軽症患者を減らすことができるのではないかとの結論にいたりました。平成20年3月 広島市議会で夜間救急診療所関係予算が議決成立しました。3月27日の第83回定時議員会・総会で平成20年度の事業計画として広島市医師会運営の夜間救急診療所(仮称)開設への事業計画案が承認されました。
4) 広島市医師会の対応と検討
広島医師会はどうしてきたかといいますと、平成18年3月アンケート・広報により内科救急が舟入病院から市民病院へ移管することを報知する。2回目のアンケートで救急医療とくに夜間救急診療に関する医師会員の意識調査を行い9月13日にアンケート報告会をしております。11月18日の13大都市医師会連絡協議会で他の政令指定都市の状況を調査しました。地対協救急医療体制検討部会(準備会)での検討をしてまいりました。平成18年7月31日平松会長から医師会員全員へ夜間救急医療の現状と医師会が積極的に参加する声明文を発送しました。平成18年7月からは救急医療検討部会に理事だけでなく5区の医師会長と内科医会の会長・幹事も参加していただいております。平成18年11月30日 夜間救急診療に関する第2回アンケート調査を実施しました。広島市医師会は夜間救急診療所の設立を強く、市長ならびに行政へ提言しました。市民の方々への広報として、平成19年2月18日に県民公開講座 9月9日に市民公開講座のシンポジウムで広島市の救急医療について医師会の方針を発表しました。平成20年6月11日に平松会長から医師会会員の先生方に封書で、名称を広島市医師会千田町急病センター(内科)として平成21年3月の開設予定とそこでの診療の出務に関するお願いをお送りしております 以上の経過については2年前から、夜間救急診療所の計画を医師会だより、かわら版それにホームページに掲載してきました。
5) 広島市医師会千田町夜間急病センター(内科)の概要
広島市が施設・医療機器を整備し、医師会に無償貸与して医師会で運営します。
広島市健康づくりセンターの駐車場に約300平米の平屋で来年の3月に完成予定です。
診療科は内科です。2診体制です。年末年始を除く毎日を診察いたします。年末年始はこれまでどうり内科医会のご協力で舟入病院で内科診療を24時間おこないます。受付開始時間と診療時間はまだ確定ではありませんが、できるだけ7時の受付開始で10時30分受付終了とし診療も7時から11時までを考えています。午後の診療の終了が7時までの先生とか遠方よりこられるため7時に間に合わない先生もおらえることとは思いますが・・・そうした先生がこられる時間を埋める専従の先生も募集しております。出務して頂く先生は医師会に所属しており、現在内科あるいは外科を標榜しておられる先生を対象にしております。年齢は65才未満ですが65才以上の先生方でも急病センターの主旨に賛同していただき出務を希望された先生にはお願いしたいと思います。また、外科の先生にもご協力をお願いするのは、内科の先生だけでは、やはり回数が年に3回とか4回、3ヶ月とか4ヶ月に1回まわるようになるかもしれませんが、外科医も協力していただければ回数が減ることが明らかです。診療体系や健康上、時間外には診療できない理由がある先生は検討部会で協議して免除させていただくこともあると思います。
出務していただく先生には時間あたり平日は12000円程度を、土曜・休日には割り増しを考えております。安いとは思いますが、予算内での事業ですし、現在、舟入病院の土日に出務されている小児科・眼科・耳鼻科の先生と同等に設定しております。なお、自家用車でなくタクシーでのご利用をお薦めしますが、タクシー料金はそれぞれ距離によって違いますのでタクシーチケットなど現物支給をする予定です。(26) 看護師は3ないし4名体制の予定です。来年3月の開設前に十分、研修と訓練をして頂く予定です。安芸市民病院でしばらく研修して頂くことも予定しております。事務員は2名の予定です。警備については、警備員を配備いたします。診療中ならびに通勤中の事故については保険が適応されるよう、医師会で準備しております。医師会で施設保険と診療行為保険に入ります。院内処方で、薬剤師は広島市薬剤師会から派遣していただきます。この急病センターでは、初期診療だけを扱いますので、救急車の受け入れはしません。初期救急患者さんが対象となります。処方も基本的には1日分しか行わない予定で考えております。「これはちょっと様子が違うな」という患者もあるかもしれません。そうしたトリアージされた患者は2次・3次の病院へ紹介していただきます。どこに紹介すればいいかわからない、というようなことの無いように、毎日の後方支援病院の確保と事前の了解はしっかりしておきますし、舟入病院、広島市民病院・県病院・日赤・記念病院等には既にお願いをしております。
広島市の夜間救急体制を図式化したものです。急病患者が直接二次救急病院を受診するまえに千田町急病センターができればここでの初期救急患者をみることで二次・3次の軽症患者を減らすことができ、それぞれの医療機関の本来の診療体制がうまく機能すると考えております。
広島市の救急医療体制を整備するのは、本来は行政がするべきですが広島市の財政難を理由になかなかその改善策に着手しておりませんでした。とくに舟入病院から市民病院への内科移管はさらなる一極集中と患者さんに迷惑をます事が予測され、医師会はその窮状を危惧しておりました。実際に市民病院のER開始後、市民病院での救急患者は増加しあふれた患者は輪番制病院群に押し寄せています。医師会としてこの危機をなんとかしたいという気持ちが行政と積極的に協力して急病センターの設立にこぎつけました。行政がハードをうけもち、ソフトつまり診療するのは医師、ことに医師会の皆様しかいません。
広島市で開業され、すでに地域医療に貢献されておられる先生方にさらなるご苦労をしいることとなりますが、広島市の救急医療のため是非、ご協力をお願いします。
これからいろいろな問題がでてくるとは思いますが、それこそ走りながらでも修正をし、われわれ医師会執行部は先生方に安心・安全に診療して頂けるよう、患者さんにも満足な診療を受けていただけるよう、より良い夜間急病センターにしていきたいと思っております。
以上の説明を行い、続いてあらかじめFAXにて寄せられた質問に対して返答を長崎副会長が返答をおこなった。その要約を以下に記載します。
○医療事故について
・医療事故が万が一生じた場合の補償は、各自個人で責任を負うのですか。
⇒医師会で施設保険・医療行為保険に入る。対応はケースバイケースであるが、医師会が関与する。
○患者の暴行、暴言について
・酒に酔って暴行、暴言を吐くなどの行為が行われた際に、ガードマンなどの警備はどうなるのか。
・問題が起きた時(暴言、暴力・・・)の対策面も教えてください。
・態度の悪い患者に対して医師が矢面に立つのは御免こうむります。
⇒警備員を配置する。悪質なものは、警察へ連絡する。
○重症患者の受け入れについて
・重症患者の受け入れは?
・軽症患者のみの診療か、否か。
⇒1次救急患者のみを対象とする。救急車は受け入れない。
後方支援病院は確保している(広島市民病院、舟入病院等)。
○診療後の患者急変について
・問題が起きた時(診察後の急変・・・)の対策面も教えてください。
・万一、トラブルが診療中、あるいは帰宅後に起こった場合、誰が責任を持てますか?
⇒診察後の急変は、後方支援病院にお願いする。また、広島市民病院ERについて院内掲示等で患者へ知らせる。
○救急車について
・救急車に同乗が必要か。
・患者搬送及び救急車受け入れについて
⇒救急車に同乗は必要。症状により、医師または看護師が同乗する(2次病院に行くまでは1次病院の責任となるため)。
原則、救急車の受け入れはしない。
○小児科患者について
・小児は診療しないと拒否しても問題ないのですか。
⇒内科患者を対象とする。小児の患者は舟入病院(15歳以下は対応可)へ紹介する。
○看護師について
・看護師の確保は十分なのでしょうか?派遣などで雇うのでしょうか?注射は翼状針しかやったことがない看護師(正看)がたくさんいます。
⇒看護師は常勤、パートを含め、職員として採用する。常時3〜4名の勤務体制とする。
○全員参加について
・対象者全員参加が原則としても、我々は個人事業主であるから、色々と個々に事情を抱えています。強制的な参加は無理だと思います。
⇒基本的には、内科、外科を標榜する医療機関は全員参加いただきたいが、やむをえない事情がある場合については考慮したい。
○診療終了時間が遅い医療機関について
・当院は月〜金、7時まで診療しております。受付時間の制限を設けておりませんので、7時に来院された患者様も診療しております。救急外来の開始時間が7時からですと、自院の診療を通常の診療時間よりも早く終了せざるをえません。当院のように終了時間が遅い場合は、どのようになるのでしょうか。
⇒医療機関で7時に間に合うよう対応いただければ大変助かります。しかしながら、どうしても7時には間に合わない場合は、遅れてでも協力いただき、その間は、2診体制ですのでもう一人の医師に対応してもらいという形でどうかと思っておりますが、ここの対応については現在検討中です。
また、土・日・祝日に出務いただくこともお願いしたい。 (文責 中西幸造)
2008.10.28
|
|
|
|
|
|
|